2015年1月9日金曜日

伊丹十三監督映画『マルサの女』の感想メモ

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映画『マルサの女』
監督:伊丹十三
脚本:伊丹十三
製作:玉置泰、細越省吾
出演者:宮本信子山崎努、津川雅彦、大地康雄、桜金造
音楽:本多俊之
撮影:前田米造
編集:鈴木晄
配給:東宝(1987年2月7日公開)
マルサの女 - Wikipedia

※ネタバレします・・・
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この映画を初めて観たのが確か18歳ぐらいの頃・・・
フジテレビ、午後21時から始まる『ゴールデン洋画劇場』で観ました。
当時高校生だった私は『マルサ(国税局査察官)』が一体何なのか・・・
会社の仕組みや脱税方法・・・地上げや国会議員等、映画でやり取りしている内容のほとんど・・・
セリフの大部分を・・・←まったくといっていいほど理解できていませんでした。それでも映画を楽しんで面白く観ていたような記憶があります・・・
(チンプンカンプンにもかかわらず、)『この映画はとてつもなくパワーがあって面白い作品だ!』という印象を抱いたのをよく覚えています・・・


マンションの地上げシーン。
サラ金を焦げ付かした家族のベンガル、嫁さん妊婦?、子供&菅井きんの
狭い部屋で地上げ屋の話を聞く姿・・・なんともだらしない?佇まいが面白い・・・(悲壮感はあまりない・・・なぜならこの家族はギリギリで救われたのだから・・・

夜逃げ資金200万円を奪い合う家族3人・・・


結局、権藤英樹(山崎努)のわきが甘かった・・・
『女にだらしなかった・・・女に甘かった・・・』というのがマルサに敗れた原因だろうと・・・そういう風に思いました。

いつ別れるかもわからない≪愛人(2号?彼女?)≫に自分の大事な命綱である『計算書や印鑑、通帳』をなぜ預けるのか・・・?

その女を捨てる場面で「一週間やる、退職金貰って荷物まとめて出てけ!」というセリフを
吐いている・・・ということは→会社の女に手を出していたということなんだろうか?それとも名ばかりの社員として採用して給料だけ与えていた?・・・いずれにしても愛人に『仕事(自分と関係のある)』を与えるのはいかがなものか・・・

ラストシーンでも妙に感傷的になって自ら板倉亮子(宮本信子)=女に隠し金庫の場所をと暗証番号を教えてしまいます・・・

板倉亮子(宮本信子)という人物の才能に惚れこみ、
自分の息子を助けてくれた貸しを返したいという思いがあったのかもしれませんが・・・
それにしても女に甘いような気がします・・・


シュレッダーのない時代・・・
女に預けた『会社関係の計算書』をほぼそのままの形でゴミに棄てさせるなんていうのも爪が甘いような気がします・・・

ハサミで細かく切るとか・・・フライパンで燃やすとか・・・専用焼却炉を作って燃やすとか、接着剤でガチガチに固めてから捨てるとか・・・ペンキに浸してから捨てるとか・・・
何か方法(アイデア)はなかったのかと・・・


権藤英樹(山崎努)という人間は、案外ロマンチスト優しい人なのかもしれない・・・と思いました。
なんだかんだで良い人間(基本、真人間)であるのではないかと・・・

権藤「太郎のことでね、一度あなた(板倉)に礼を言いたかった。」
↑礼を言いたいだなんてとても律儀な人です・・
自分の子供(太郎)のことをちゃんと考え、心配している様子が随所にうかがえました・・・

そういえば権藤英樹(山崎努)と板倉亮子(宮本信子)、二人が初めて出合った時の会話・・・↓
権藤「本当に愛情がわいて財産を分けてやりたくなったらどうすると思う?
離婚するんだよ離婚・・・離婚して慰謝料をガバッと払う・・・慰謝料は税金かかんないから、ね、そうやって財産彼女に移しといて、また彼女と結婚する・・・俺、女を愛したらそこまでやる男だよ・・・」

あながち冗談ではなく、本心からの発言なのかもしれない・・・

板倉「財産を移したとたん彼女が逃げちゃう可能性もありますね」
(↑・・・かなり現実的なつっこみ・・・男の夢想に水をさす板倉)

クライマックス・・・
権藤と板倉ふたり・・・夕暮れの競技場観客席?での会話シーン。
権藤「心が安らかなのが一番いいなぁ」
「あそこの芝生で子供が遊んでいるだろう?ああいうのを眺めていると、俺は心がかきむしられる気がする・・・幸せが手からすり抜けていく気がするんだ・・・」

この発言も本心から来る言葉で嘘ではないのだろう・・・
どう考えても極悪ブラック・金の亡者の発想ではない・・・

ラスト
板倉が忘れたハンカチに自分の血で貸金庫の暗証番号を書く・・・
ちょっと変質的ではあるが熱情的・ロマンチックでもある行動です・・・


ところで公園で遊ぶ子供達(たぶん3歳~5歳?ぐらい)・・・
なんで親が近くで見張っていないんだろうか?・・・子供たち2人だけで遊んでいる・・・
この時代はこんな感じだったのだろうか?
「もし怪我でもしたらと」妙に心配になりました・・・


板倉「査察が入ってつぶれた会社はないっていうし・・・」
(そ、そうなのか・・・では、なんで権藤はそんなに必死だったのだろう・・・)
6ヶ月間、毎日のように査察に呼び出されて、3億の隠し金を守り通す権藤・・・

よくよく考えてみれば、その間普通に、事業に専念してた方がよっぽど儲かっていたのじゃないか?
(それとも、他にも隠したお金がたくさんあったのだろうか・・・)


権藤という名前は、黒澤明監督映画の『天国と地獄』で三船敏郎が演じた権藤という名前から来ているのだろうか?(いや、まあ関係ないか・・・)


ショルダーバッグみたいな携帯電話が妙に懐かしい・・・


マッハ文朱が醸し出す独特のコント臭は一体なんなんだろうか?
見ていると思わず笑ってしまいそうになります・・・なんとなくコントっぽい・・・
(こんな風に感じるのは私だけだろうか?)


★久しぶりに伊丹映画を堪能しました・・・
すごく面白かったです。とても楽しい良い時間を過ごしました・・・