2015年5月20日水曜日

ウォン・カーウァイ監督映画『恋する惑星』の感想メモ・・・登場人物みんな変!

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恋する惑星 [Blu-ray]
『恋する惑星』(1994年香港映画)
監督:ウォン・カーウァイ
脚本:ウォン・カーウァイ
製作:ジェフ・ラウ
製作総指揮:チャン・イーチェン
【出演者】
警官663号:トニー・レオン
フェイ:フェイ・ウォン
謎の金髪女:ブリジット・リン
警官223号:金城武
スチュワーデス:チャウ・カーリン(英語版)
音楽:フランキー・チェン、ロエル・A・ガルシア、マイケル・ガラッソ
撮影:クリストファー・ドイル、アンドリュー・ラウ
編集:ウィリアム・チャン、カイ・キットウァイ、クォン・チリョン
美術:ウィリアム・チャン、アルフレッド・ヤウ
【挿入曲】
デニス・ブラウン『Things in Life』
ママス&パパス『夢のカリフォルニア』
ダイナ・ワシントン『縁は異なもの』
フェイ・ウォン『夢中人』≪クランベリーズ(The Cranberries - Dreams)『ドリームス』のカバー曲≫
恋する惑星 - Wikipedia

※ネタバレします
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久しぶりにウォン・カーウァイ監督映画の『恋する惑星』を見ました・・・
初めて観たのはたしか1996年ぐらいの頃。
あれから約20年の年月が経過・・・これまでにおそらく7回ぐらいは観ていると思います・・・
ふと思い出して、おもむろに観たくなる癒し映画なのです。


『恋する惑星』というタイトル(邦題)がめちゃくちゃカッコイイです・・・
これほどビシッとハマッた邦題も珍しいと思います・・・
※原題は繁体字で『重慶森林』英語で『Chungking Express』・・・
そして、この映画の中で使われている音楽も最高に格好良い・・・昔サントラを買ったのを思い出しました(あのCDどこにいったんだ?引越しの整理後、現在行方不明中)・・・
恋する惑星 恋する惑星


個人的には前半部分〔第一部〕(ブリジット・リン&金城武のパート)はあまり好きじゃないんです(嫌いでもないけど)・・・後半部分〔第二部〕=メインディッシュのための前菜みたいな感じで受け取っています・・・
後半部分〔第二部〕(フェイ・ウォン&トニー・レオンのパート)は、
約20年前(当時)の私にとって、衝撃的な面白さでした・・・
こんな楽しい映画はないと思っていました。


ブリジット・リンの金髪のカツラにサングラス、トレンチコート姿(レインコート)←何度見ても違和感を覚えます・・・なんでこんな衣装にしたんだろうか・・・まあ別にいいといえばいいんだけど・・・(一瞬、ブライアン・デ・パルマ監督の『殺しのドレス』っていう古いアメリカ映画を思い出しました・・・)
Wikipediaによるとブリジット・リン(林 青霞)の誕生日は1954年11月3日らしい・・・
ということは公開当時(1994年)は40歳!?(危ない橋を渡りまくってる40歳〔中年女性〕というのもなかなか面白い・・・)
ブリジットのアゴが割れているのがとても印象的でした・・・


独特のカメラワークと色彩美がとても素晴らしい・・・艷やかで可憐です。
猥雑とした香港の町並みや汚い部屋(シャワールーム)すらもおしゃれに見えます・・・
アンドリュー・ラウとクリストファー・ドイルが創り出す映像美が
当時絶賛されていたのを思い出しました・・・
青みがかった・・・躍動感のあるモーション・・・
なんとなくシャガールの絵みたいだなと思いました・・・


金城武(かねしろたけし)・・・日本人の父と台湾人の母との間に生まれ・・・5ヶ国語を話す・・・
金城武 - Wikipedia
『恋する惑星』で金城武が演じている警官役(警官223号)・・・←この警官の女々しさが尋常ではない・・・
常軌を逸した女々しさ・・・
↑・・・私はまったくといっていい程、『女々しさ』に対して抵抗というか苦手意識はないのですが、そんな私でも(かなりの強度のある)『女々しさ』を感じたので・・・これは人によっては、このキャラクターに対して強烈に拒絶反応を示す人もいるかもしれない・・・全く受け付けない人もいそう・・・

ホテルの洗面所で、
唇についた歯磨き粉を歯ブラシで拭うシーンがとても印象的・・・
↑約20年前の私はこの仕草のマネをしていました・・・

ホテルで女の靴を脱がせ自分のネクタイで磨くシーンがなんとも詩的で
良かったです・・・何か思い出(エピソード)を作らないと寂しくて人生やってられない=哀れで儚い精神・・・ネクタイで磨く必要があるのかというつっこみはなしで・・・

★明け方の球場
限りなく透明に近いブルーの中を走る金城武がとても印象的でした・・・
『恋する惑星』の前半部分で一番私が大好きで印象に残っているシーンです。

★ポケベルに金髪の女が「(誕生日)おめでとう」のメッセージを残してくれる・・・
↑・・・ただコレだけのことで、主人公の男は救われる(彼女は忘れ得ぬ人となった・・・)・・・
今でいうネット上のチャットや掲示板、ツイッターなどで「今日が自分の誕生日であることを告白」→「見ず知らずの誰かが通りすがりに祝ってくれる」・・・この流れ・やり取りの先駆け的なシーンなのかもしれない。


前半部分〔第一部〕でフェイ・ウォンが一瞬登場するシーンがあります・・・
そのシーンがとても好きです。
おもちゃ屋さんの前にいるブリジット・リン。店から大きなぬいぐるみ(ガーフィールド)を抱えて出てくるフェイ・ウォン・・・このニアミス演出がなんともたまりません・・・
※一回目の視聴で気付ける人はほぼ皆無なのではないでしょうか・・・


いよいよ後半部分〔第2部〕のスタート・・・
金城武とすれ違いざまにフェイ・ウォンが登場してきた瞬間、鳥肌が立ちました。
バックには『夢のカリフォルニア』(ママス&パパス)が流れています・・・この映画内で最高にワクワクする瞬間です・・・
すぐさま間をおかず、トニー・レオンが登場する。
ちょっと離れたところ(あそこには交番があるのだろうか?)
からゆっくりこちら(お店:フェイ・ウォンが働いているところ)へ歩いてやってくる・・・
この歩いてやって来る感じがとても良い・・・トニー・レオン格好良すぎる。


世間話でトニー・レオンがふられたことを店の店主と話しているシーン。
店主のうしろで掃除しながら盗み聞きをしているフェイ・ウォンの表情がカワイスギル・・・


それにしても白ブリーフ姿のトニー・レオンは→ダサい・・・(格好良いんだけどダサい)・・・
1994年当時の香港の成人男性の下着はあれがスタンダードだったのだろうか?


『恋する惑星』と『天使の涙』
1996年当時の私は、これら2つのウォン・カーウァイ監督作品にめちゃくちゃハマっていました・・・本当に大好きでした。
↑・・・ですが、当時の私には、これら2つの映画の何が良くてこんなに面白く感じるのか、心を鷲づかみにされるのか? その理由が全くわかっていませんでした・・・↓

『フェイ・ウォンが可愛すぎる・・・』『金城武、トニー・レオンが格好良い・・・』という一言だけでは片付けたくない何かを感じ取ってはいたのですが・・・当時の私はそれが何かを説明する術(言葉)を持っていませんでした。・・・

でも、今なら『その何か』を説明できるような気がします・・・

この2つのウォン・カーウァイ作品の最大の魅力は・・・↓
登場してくる主要人物のほとんどみんながちょっと変で・・・奇行ばかりを繰り返し・・・
微妙に精神を病んでいる人達である・・・ということに尽きると思うのです・・・
★今でいうメンヘラ(軽めの)という言葉が指し示す人物たちを描いている(しかも魅力的に)・・・

登場人物たちのその素顔=絶妙の屈折具合(中2病具合・メンヘラ具合)が最高に面白かったのだと思います・・・

※当時いわゆる『メンヘラ』という言葉はなかったし・・・
こんなに楽しくおかしな人達を主軸に置いて、スタイリッシュに日常生活を描いている映画作品なんて存在しなかったような気がします・・・

そう意味ではこの映画はとても斬新で当時最先端の表現・・・『ちょっとだけ精神を病む現代の人達(若者)に生き方を示した作品』だったのではないかと考えています・・・

そこに当時の私は共感し、惹きつけられたのだと・・・今さらながらそう思うのです。
ウォン・カーウァイ - Wikipedia
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「彼女が出て行って家の中の物がーとても悲しんでいた」
彼女にふられたトニー・レオンが部屋で独りさみしく、部屋の(備品)物たちに話しかけるシーンがとてもユーモラスで好きです・・・
小さくなった石鹸に「やせたな」と話しかけたり・・・
ぼろぼろの濡れた布巾に「泣くなよ」と励ましたり・・・
(イケメンのトニー・レオンだからだと思いますが不思議と気持ち悪くない印象を抱きました・・・)


部屋でトニー・レオンとフェイ・ウォンが鉢合わせしてしまうシーン・・・
吃驚したフェイ・ウォンの脚が動かなくなるというアクシデントが発生・・・
このシーンのフェイ・ウォンがとても可愛くて面白い・・・

そして脚をマッサージするというマッタリとした展開へ
このシーンもとても良い・・・(くわえタバコでマッサージをするトニー・レオンの表情が印象的・・・)
そのあと2人とも寝てしまうというとぼけた謎展開も妙に心地よい・・・


フェイ・ウォンが部屋に置いていったCDを
昔の彼女が置いていったものだと説明するトニー・レオン・・・
フェイ・ウォン(心の声)「思いは伝わらないのね」

このあたりのトニー・レオンの鈍感ぶり・・・おとぼけ加減・・・恋の気配にまったく気付いていない感じが、非常に良いと思いました・・・(いいフリになっている・・・)

そして、これが時間が経つにつれ徐々に変化していく・・・
トニー・レオンが少しずつ恋に気付いていく・・・←この感覚がたまらなく良い・・・
「(缶詰)しょうゆ味だったのか」
今まで日常気にしていなかったことが気になりだすトニー・レオン・・・
徐々に彼女(フェイ・ウォン)の趣味(好み)を受け入れ、染まっていく感じ・・・
日常の景色が変わり始める・・・
↑この素晴らしい表現力、演出力に・・・監督ウォン・カーウァイの鬼才ぶりが伺えます・・・


フェイ・ウォンが(嫉妬で?)元彼女のシャツ(キャビンアテンダントの制服)を
隠してカビさせていたのが地味に面白かった・・・


「8時にカリフォルニアへ」
トニー・レオンがフェイ・ウォンをデートに誘う・・・
どぎまぎするフェイ・ウォンが可愛い・・・(返事はしていない)
そして、
来ない・・・
店の店主(叔父)が彼女(フェイ・ウォン)が来ないことを伝えに来る・・・フェイ・ウォンは、お店の「カリフォルニア」ではなく
アメリカ合衆国西海岸にある「カリフォルニア」へ行ったという・・・
「彼女は場所を間違えたんだ」
お互い違うカリフォルニアにいたんだ・・・

手紙を渡されるが、
手紙をなかなか読まないトニー・レオン・・・
一度は捨てて雨ざらしになった手紙を再び拾って読み始めるトニー・レオン・・・

手紙の中身は↓
日付が1年後の搭乗券・・・行き先はわからない・・・
エコノミー・クラス Mr.633

★なんとフェイ・ウォンは待ち合わせのお店(カリフォルニア)へ行っていた・・・
7時15分・・・(トニ・レオンよりも早く来ていた・・・)でもなぜかいなくなった・・・

フェイ・ウォンは1年後(搭乗券に記載されている日付の日)にもお店へ行っている(?)・・・
彼女はどうやらキャビンアテンダントの仕事をしているようだ?

↑・・・このあたりの『???』だらけの行動・・・←私が初めて映画を観たとき、まったく理解できませんでした(面白かったのですが、本当によくわからなかった・・・)・・・なんでこんな展開になっているのか・・・!?
↑・・・でも今なら・・・わからないことはない・・・
この謎の行動『???』こそがメンヘラがメンヘラたる由縁の面倒くささ・・・なのであろうと・・・そういう風に解釈・理解できるのです・・・
圧倒的な面倒くささではあるが、これを受け入れて愛するしかない・・


1年ぶりにフェイ・ウォンに再会した瞬間のトニー・レオンの表情がすばらしい・・・
(とても印象的な表情です・・・※目をつぶるとその吃驚した表情が瞼の裏に浮かびます・・・
まるで奇跡に遭遇したかのような顔をしている・・・
そして、次の瞬間、非常に温かい優しいまなざしで彼女を見つめている・・・
このまなざしがたまならない・・・

「どこ行きたい?」
「君の行きたい所へ」

前向きで明るい予感を匂わせて映画は終わります・・・良い終わり方だと思いました・・・

また、時間を空けて、再び観てみたいなと思っています。かなりおすすめの作品です・・・