2015年7月15日水曜日

小津安二郎監督映画『秋日和』の感想メモ

「秋日和」 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター [Blu-ray]
「秋日和」 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター [Blu-ray]

映画『秋日和』 Late Autumn
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧、小津安二郎
製作:山内静夫
【キャスト】
三輪秋子:原節子、三輪アヤ子:司葉子、間宮宗一:佐分利信、佐々木百合子:岡田茉莉子、田口秀三:中村伸郎、平山精一郎:北竜二、後藤庄太郎:佐田啓二、間宮文子:沢村貞子、間宮路子:桑野みゆき、間宮忠雄:島津雅彦、田口のぶ子:三宅邦子、田口洋子:田代百合子、田口和男:設楽幸嗣、平山幸一:三上真一郎
音楽:斎藤高順
撮影:厚田雄春
編集:浜村義康
配給:松竹 1960年11月13日公開
秋日和 - Wikipedia

※ネタバレします・・・


小津安二郎監督作品『秋日和』・・・
司葉子と岡田茉莉子が可愛すぎる映画です・・・
佐田啓二がイケメン過ぎる映画です・・・
老いてなお悪ガキ感のある3人組じじい→佐分利信、中村伸郎、北竜二がいい味を出している映画です。


亡き友・三輪の7回忌を終えた後、座敷で3人組じじいが酒を飲んでいるところ・・・高橋とよ(お店の女将さん)が出てきて「お酒ありますか?」と尋ねる・・・そこでの3人組じじいの会話・・・↓

「そりゃあそうだよ(あなたはブサイクだから)ご亭主長生きしますよ」
「あんなの持ってりゃ、亭主は長生きするよ」
(さらにたたみかける・・・↓)
「しかし、あんなの持ってても案外早死にするんじゃないか?・・・体格が良すぎるよ」
「プロレスか」
「ヘッドシーザースか」
「たまらないね」「潰されちゃいますね」(3人全員で爆笑)

この悪~いガキみたいなノリのジョークは一体なんなんだろうか?

(大人な感じ)渋い見た目とのギャップで若干ひいてしまったんですが・・・
※旧友(悪友)ならではの会話ということなのだろうけども・・・


いもりの黒焼き=惚薬(ほれぐすり)
↑私、この知識、『うる星やつら』という漫画を読んで得ました。


司葉子・・・端正な顔立ち、ナチュラルな美貌・・・
↑本当に綺麗な人だなぁと思いました。
ただ、髪型やメイクがかなり古臭いおばさんっぽい雰囲気だったので、
イマイチ魅了されることがなかったのですが・・・
あの顔で今風の髪型やメイク、ファッションをまとったら、どんなに綺麗だろうか?・・・見てみたいなぁと思いました。(想像をするか、コラを作るしかないのですが・・・)


小津映画の筋書きはだいたい『結婚包囲網』の話なのです・・・
まわりがよってたかってひとりの娘を結婚に追いやる・・・
いや、それにしてもなんで同じ設定で同じ話ばかりなんだろうか?
(昔、私は)何か理由があってそういうモチーフをあえて選んでいるのだろうと考えていました・・・
きわめて日本的で、村社会的な、家族制度の呪縛、人間生活の輪廻・・・に対してある種の皮肉(アイロニー)を込めた作品を作りたかったのではないかと・・・(それを描くのに最適なシチュエーションが『結婚包囲網』だったのではないかと・・・)
ただ今は、よくわからないというか・・・保留状態になっています・・・
皮肉を込めたかったかもしれないし、そうでないかもしれないし・・・よーわからん・・・


佐分利信と原節子が二人でお昼に食べたもの→うな重だろうか?
無性にうな重が食べたくなってきました・・・


間宮家(佐分利信)と田口家(中村伸郎)・・・別々の夫婦が
まったく同じ会話のやり取りをしているのが面白かったです・・・
非常にオシャレな演出だと思いました・・・
「お薬何お買いになったの? アンマコ、アンチピリン?どっちでしたっけ?」


原節子が初めて母親役を演じたのがこの映画だそうです。
原節子の見た目←結構年をとっていると思いました・・・
原節子 - Wikipedia
原 節子(はら せつこ)、誕生日が1920年(大正9年)6月17日というわけで
この映画(1960年)に出演していた当時は40歳前後だろうか・・・
※今の40歳と昔の40歳は違うだろうから比較してもしょうがないけど・・・やはり結構老けている・・・

★この映画での原節子↓
歯をむき出しにして笑いながらしゃべる姿がちょっと怖いと思いました。
なんとなく目が笑っていないように見える・・・

≪雨に悩める海棠(かいどう) ≫???
あまり魅力的には見えなかったのですが・・・
(こう感じたのって私だけだろうか?)


間宮(佐分利信)の家に出てくる子供・・・
映画『お早よう』に出演していた勇ちゃんじゃないか?
あの頃映画 松竹DVDコレクション 「お早よう」
見た瞬間妙にテンションが上がりました・・・
(私は勇ちゃんファンなのです・・・)
間宮忠雄:島津雅彦
「わせだ、わせだ、わせだ、わせだ、わせだ~」
小津映画ならでは
大人をからかうような子供独特の遊びしぐさ・フレーズ(コール)がめちゃくちゃ楽しい・・・


佐田啓二(さだけいじ)が初めて登場してきた時、かなりビックリしました・・・
美男子すぎる!!!・・・このイケメンの縁談を断る女はいないだろう・・・
佐田啓二、久しぶりに顔を見ましたが・・・こんなにイケメンだったっけ?
なんとなくトニー・レオンに雰囲気が似ている・・・
佐田啓二 - Wikipedia
娘:中井貴惠、息子:中井貴一


平山(北竜二)が原節子との縁談に
ノリノリになっているのがものすごく面白かったです・・・

↑・・・この展開は誰でも笑うんじゃないだろうか?・・・
映画公開から55年経った今でも色褪せず伝わってくる面白さに
感心しました・・・たぶん100年後の人が見てもプッと吹き出すと思います・・・

原節子にまるで結婚する意志がなく→縁談話すら持ちかけられなかった田口(中村伸郎)・・・
縁談の進行状況報告するためにバーでじじい3人組が待ち合わせをしている・・・
縁談の失敗をどう報告したらいいのか・・・困惑するふたり→佐分利信と中村伸郎がそろってパイプで鼻をこすって遊びだす・・・
↑面白すぎです・・・
「急いじゃいかん・・・」


受付の女性社員:岩下志麻
※端役で登場した岩下志麻は本作で小津に見出されて『秋刀魚の味』のヒロインに抜擢される。
気になったのでそのシーンを探してみました↓
なるほど、映画の前半で原節子が間宮(佐分利信)のオフィスを訪れる際に案内役で確かに登場しています・・・その一瞬を見ただけでも『さすが岩下志麻』と思わざるおえないほどの美貌でした・・・


小津安二郎監督の描く独特の映像美
ローアングル、画の枠内が四角の格子に切り分けられる・・・
正面からの主観アングル・・・(←何気にこの主観アングル、中毒性があると思うのです・・・)

あまり生活感がない、汚れていない、リアル感がない、
ハリボテ感のある部屋、オフィス・・・
高級感があるはずなのにどこかチープな世界(決して安っぽいわけではないけど)・・・浮世離れした不思議な世界だなぁといつも思います・・・

あと気になるのは、場面変えで一瞬映る風景の画、
東京タワーや山や木とか・・・
↑この構図が(個人的に)非常に『微妙な画』だなぁといつも思うのです・・・
なんでこんなところをトリミングしたの?という画(構図)になっている・・・
↑非常に独特なのでいい味出していると言えばいい味出しているんだけど・・・


(登場人物がつく嘘)
この映画を一段と面白くするエッセンスとして多様されている『嘘』・・・
こんなに『嘘(登場人物がつく嘘)』が効果的かつお洒落に使われている映画って他に存在するだろうか?(存在しないんじゃないだろうか・・・にわかには思い出せない・・・)

★個人的にこの映画内で一番好きでお洒落だなぁと感じるシーン↓
岡田茉莉子が自分の家(お寿司屋)に3人組じじいを案内して(祝杯を上げる)食事をするシーン。
自分の家(お店)なのに(そのことを黙って:嘘をついて)他人の店のように振舞う・・・

「案外、こんな場末のちゃちな店がうまいんだ」
「場末で悪かったわねぇ」
「ここのお嬢さんとっても綺麗なんだ、ちょっと見せたかったわ(ウィ)」

「百合ちゃん、君大丈夫かい?こんなところに来ちゃって帰れるかい?」
「帰れますって、大丈夫よ、おじさまこそしっかりしてよ」

「百合ちゃん、だいぶお馴染みだね」
「うん」
「ちょいちょい来るのかい?」
「うん、毎日」
「毎日?」
「なんだ、ここ、君の家か?」
「そうよ、今のがうちのおかあさん、私がここのお嬢さん」
「ひどいもんだね」
「でもおじちゃま、お勘定は払ってよ、いくら食べても良いからね」
「あぁあぁ払いますよ、払う、払う」
「この頃のお嬢さんにはかないませんよ」
「立派なもんです」

↑なんでもないシーンのはずが岡田茉莉子がつく嘘のおかげで
とてつもなく面白くて楽しいシーンに仕上がっています・・・

しかも騙している相手が嘘常習犯のやんちゃ3人組じじいなので、観客は見てい
て相当すがすがしい気持ちを覚えたのではないだろうか?・・・

嘘がバレた後の会話にもセンスを感じます・・・↓

「でも、おじちゃまー本当よ?」
「あぁ、本当だよ、本当に愛せるよ」
「そうじゃないの、本当にお勘定払うのよ」
「あぁ払うよ、払いますよ、払う払う」

(そっちかよ)・・・本当にお洒落だなぁと思いました・・・

岡田茉莉子の演じる役が非常にチャーミングでキュートでした・・・
めちゃくちゃ可愛いと思いました・・・


周遊券であちこち回るんだって・・・周遊券?
周遊きっぷ - Wikipedia
周遊券の歴史は古く、大正時代初期には鉄道院により割引遊覧切符が発売されていた。

俵屋の修学旅行生のエキストラ?の中でひとりボッチっぽい女生徒がいてその後姿がとても気になりました・・・
↑・・・私、集団の中でひとりぼっちで佇んでいるような人がいると、どうしてもその人に目が行ってしまうのです・・・


後藤・三輪御両家結婚披露宴会場で
平山(北竜二)ひとりだけちょっと暗い顔をしているのが面白かったです・・・
(あんなにノリノリでニコニコウキウキしていたのに・・・)


3人組じじい達が披露宴の後の座敷(酒の席)で・・・↓
「いやぁ、おもしろかった」
「おもしろかったじゃないか、これでもうおしまいかと思うとちょいと寂しいね、他に何かないかね?」
と言っているのをみて、ちょっと不愉快になりました・・・

↑・・・自分も昔(結婚話ではないけれど)彼女を紹介して貰ったことがあって
(付き合ってないけど、一度会った)
その時、仲介してくれた人たちのその傲慢な態度に嫌気をさしたことがあります・・・
やたらおせっかいというか何から何まで自分の手柄みたいにしようとするあの出しゃばった感じ・・・
なんなんだろうかあの傲慢さは・・・
3人組じじいを見ていて、ふとそのことを思い出しました・・・


ラストシーン
時計の針の音が響く部屋・・・
急に岡田茉莉子が訪ねてきて部屋がちょっと賑やかになる・・・
岡田茉莉子が帰った後の静けさ・・・↓
ひとりさびしく布団の上でたたずむ原節子・・・
なんともいえない表情をする原節子・・・ (ほっとした気持ち半分、寂しさ半分・・・?)

このエンディングのしみじみ感は小津映画ならではの様式美・・・

久しぶりの小津映画・・・心が洗われるような感覚を覚えました・・・
演出がお洒落で非常に楽しかったです。