2016年7月1日金曜日

片岡千恵蔵主演映画『七つの顔 (1946年)』の感想メモ

七つの顔 [DVD] COS-036
七つの顔 [DVD] COS-036
『七つの顔』(1946年 大映京都)白黒
監督:松田定次、
脚本:比佐芳武
出演:片岡千恵蔵、轟夕起子、喜多川千鶴、月形龍之介
片岡千恵蔵 - Wikipedia
多羅尾伴内 - Wikipedia
「七つの顔の男」シリーズまたは「藤村大造(ふじむらたいぞう)」シリーズと呼ばれることもある。
※ネタバレします
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なかなか味わい深い映画でした。(かなり面白かったです)

片岡千恵蔵主演の映画『多羅尾伴内(たらおばんない)』・・・←なんとなくそういうシリーズ「七変化が名物の映画」が存在しているというのは知っていましたが・・・今まで観る機会が全然なかったのです。(よって、予備知識がほぼゼロの状態・・・)今回が初めての視聴です。


★何が興味深い(面白い)って・・・↓
初めて見る映画なのに、ほとんどのシーンに見覚えがあるということです。本当にどこかで観たことがある・・・既視感のあるやりとりセリフばかりでした・・・

つまりこれが何を意味しているかというと→この映画がパクられまくっている作品である・・・ということです。
パクリというフレーズを使うと若干、時代的に(著作権法が厳しくなる前だし)ニュアンスが違ってくるので訂正しますと→参考にされ(リスペクトされ)、お手本のようにマネされまくっている映画ということです。

※まあ、この映画自体にも元ネタがあって・・・『シャーロック・ホームズシリーズ』や『アルセーヌ・ルパンシリーズ』などの探偵推理小説を参考にして製作されたものではあるのだろうけども・・・
Wikipediaによりますと→モーリス・ルブランの「謎の家」(当時の訳題は「怪屋」)を殆ど翻案したものになっている らしい・・・
謎の家 (アルセーヌ・ルパン全集 (18))
謎の家 (アルセーヌ・ルパン全集 (18))


タキシード姿(奇術師)の片岡千恵蔵・・・やっぱり顔がでかいと思ってしまいました。
昔(昭和30年代の日本映画全盛期)の役者さんは今では考えられないぐらい顔がでかい人が多いです・・・(その分、画面に映し出された時の迫力もスゴイ)

どこかコミカルなオーラがある片岡千恵蔵さん・・・
↑私的には長谷川一夫さんや市川右太衛門さんもけっこう同種のコミカルなオーラを持っていると思うのです・・・
(共通点はやっぱり顔がでかい・・・かな・・・)
父・長谷川一夫の大いなる遺産 天下の御意見番 [DVD]


紫矢絣(むらさきやがすり)の着物
矢絣 - Wikipedia
卒業式着物袴セット エンジ矢絣×紫 91cm


片岡千恵蔵の声のひきだし(レパートリー)が2つ?ぐらいしかないのが・・・地味に面白かったです。※厳密に言うと1つかもしれない・・・
★むりやり早口にしたり、ちょっと声を甲高くしたり、ドスを利かせてみたり・・・その程度の軽いアレンジを加えて無理矢理7人分作りましたーみたいな感じが非常に面白い・・・
これ・・・1946年の公開当時に観ていた人たちも同じことを思ってつっこんだのだろうか?
※手相見の声なんてほぼ多羅尾伴内の声と一緒だったし・・・


歯の抜けた看守(老巡査=多羅尾伴内)がコントっぽくて面白かったです。
歯に海苔をくっつけているように見えるのですが・・・
志村けんを一瞬思い出しました・・・


主演女優の轟夕起子(とどろきゆきこ)・・・清川みどり役
轟夕起子 - Wikipedia
東京市麻布区新堀町出身。映画監督のマキノ雅弘、島耕二は元夫。沖縄アクターズスクール校長 マキノ正幸は息子。牧野アンナ(元スーパーモンキーズ)は孫。
↑まさかマキノ雅弘さんと結婚していたとは・・・・
原節子さんにちょっと似ている・・・と思いました・・・


私、月形龍之介(つきがたりゅうのすけの現代劇を観るのは初めてだったかも・・・
なんというか意外と普通のおじさん(風貌)だなぁと思いました・・・
(私の勝手な認識ですが→)この人は時代劇の悪役での印象が強いので、絶対に悪役で登場すると思っていたのですが、
『ドスのきいた声でいつ恫喝を始めるのか』と期待していたのですが、全くそんなシーンはありませんでした・・・なんだか知らないけどかなり良い人(人格者)役で登場したのでちょっと拍子抜けしました・・・野々宮信吾役は月形龍之介の無駄遣いじゃないだろうか・・・ 月形龍之介 - Wikipedia


まさかのカーチェイス・・・(1946年のカーチェイス・・・※もしかして日本映画最古のカーチェイスシーン?・・・かしら?
車から「放送」で警察に犯人の居場所を伝える多羅尾伴内の仕事できる感がスゴイ!

★地面すれすれにカメラを置いた『タイヤなめで前を走る車を映すアングル』
こんなに迫力のあるカーチェイス定番アングルが1946年から存在していたなんて・・・・
※アニメのルパン三世とかでもこういうカット、アングルが使われていたような・・・(使われてなかったっけ?・・・はっきりとは覚えてないのですが・・・まあそれぐらい定番なカットだと思います・・・)


今の時代の人間が「多羅尾伴内」というフレーズを聞いた時に
思い出すのはやはりこの人物だと思うのです・・・↓そうでもないのかな?(いまいちピンとこないか・・・)
松尾伴内・・・松尾伴内 - Wikipedia
松尾伴内 - デビュー当時は本名の「松尾憲造」で活動していたが、のちに「多羅尾伴内」をもじって改名、「いびつな顔を持つ男・松尾伴内」と名乗って人気を得た。


昭和(終戦以降)における『変化(へんげ)』って一体何を意味していたのだろうか?とちょっと気になりました。

2016年現在、今はそれほど『変化』という概念は、流行っていないというか、取沙汰されていないような気がするのです・・・そういうテーマをメインに置いた作品も少ないような・・・

一方、昭和の時代は、この『多羅尾伴内』を筆頭に、
かなり流行っていたような気がするのです。
※むかし、手塚治虫が「メタモルフォーゼが面白い、重要である」と発言しているインタビューを見たことがあります。
さなぎが蝶になるような変化・・・美しさ・・・
手塚作品でいうと→『ふしぎなメルモ』(メルモちゃん)とか・・・『人間昆虫記』とかも次々と変化していく女性を描いていました・・・
ふしぎなメルモ―変身少女コミックス (サンデー・コミックス) 人間昆虫記 (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)

変化・・・
時代劇では『雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)』という作品・・・
変身ヒーローもの・仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズ・・・
キューティーハニーやデビルマン・・・変身ロボット・・・
ウルトラマンや怪人21面相・・・
福田和子なんかもとても昭和を象徴するような雰囲気を感じるのです・・・

なんだろう・・・

昭和の時代・・・『変化(へんげ)』という題材が多く使用されたのには、何かそれなりの特別な理由があったからではないかと・・・ふとそう思ったのですが・・・まあよくわかりません・・・

激動の昭和史なんて言ったりもします・・・
(戦前)戦後も、様々な状況の変化に対応するために人々は常に変わっていかなければならなかったのかもしれません・・・
そこに『変化(へんげ)』という題材がフィットしたのではないか・・・ (?) まあヨクワカリマセンガ・・・


金庫にカギがかかっていない?
で簡単に開く↓
人(くろかわのりこ)が出てきたのはびっくりしました・・・
(なんで金庫の中に入っていたのか? ・・・・・・・・・・・・まあいいか・・・


要所要所での片岡千恵蔵のキメ顔(目力)がスゴイ・・・さすがである。
カーチェイスの末、とうとう犯人を追い詰める→警察が来るのを待っている間、
タバコを吸い始める・・・その時の顔の表情が非常にカッコイイ・・・
迫力があります・・・画面からオーラが伝わってきます・・・

そしてやってくる警察の数の多さ(40人ぐらい?)がとても良いアシストになっている・・・↓
藤村大造がたった一人でやってのけた『事件解決』の凄さを物語っています・・・


七つの顔の男ですよ!
「ある時は多羅尾伴内」
「ある時は奇術師」
清川みどり「はっ!」

これが良かった・・・こういうシーンばかり集めた動画ってないのだろうか?一度観てみたいと思いました・・・
正体が明かされた瞬間に女の人が(惚れた目をして)「はっ!」っていうシーン・・・この手のシーンは他の作品でもたくさん見かけたことがあります・・・
かなり需要があるシーンなんだと思います・・・
遠山の金さんとか、暴れん坊将軍とか・・・裸の大将放浪記とかもそんな感じかな?・・・


ラストの奥ゆかしさ・潔さ・さわやかさ・格好良さ・・・
藤村大造「万事おわりました」(ドヤ顔)←本当にいい顔します。
「あなたともお別れです」
清川みどり「まあ・・・どちらへ?」
藤村大造「旅です」
清川みどり「あたしもお供しますわ」
藤村大造「いけません」
清川みどり「いえ参ります つれてって」
藤村大造「ダメです」

藤村大造「藤村大造が真人間として復活するためには、まだ多くの正義と真実が必要です。絶対に来てはいけません」

藤村大造「こういう詩がありましたなぁ・・・我は白百合を愛す。愛するがゆえにその花の白さにも心おののき、その花のほのかなるニオイに心痛み、おもてそむけ・・・ごきげんよう」

こういう綺麗な去り方(美徳)って今の時代ではどうなんでしょうか・・・?
あまり評価されないような気もするのですが・・・

多羅尾伴内 - Wikipedia
★藤村大造
多羅尾伴内の正体。大正6年3月20日生まれ。かつてはアルセーヌ・ルパンのごとき怪盗紳士であったが、後に改心して義侠心により「正義と真実の使徒」として社会のために活動している。神出鬼没な変装の天才で探偵も開業するという設定は、和製アルセーヌ・ルパンそのもの(義賊)といってよい。このため私立探偵・多羅尾伴内は、無報酬で事件を解決することになっている。
★ストーリーは、幼稚なたわいない話が多く、荒唐無稽である。
千恵蔵が七変化をするのが映画のポイントだが、どんなに化けても観客には千恵蔵本人であることが一目瞭然であり化ける意味が薄く、また事件の推理・捜査と大して関連してもいない。

なんというマジレス・・・まあ、視聴者の目が肥え、マンネリ化するとこんな突っ込みが出てきてもしょうがないのかもしれない・・・


どうでもいいことですが↓
多羅尾伴内
タラオバンナイ たらおばんない
という音の響きがとても心地よいと思うのです・・・
↑ちょっと声に出して言ってみたくなります。