2017年10月16日月曜日

北野武監督映画『ソナチネ』無表情の演出・感想メモ



『ソナチネ』
Sonatine(1993年公開 配給:松竹)
監督:北野武
脚本:北野武
製作:奥山和由
出演者:ビートたけし、国舞亜矢、寺島進、勝村政信、大杉漣、渡辺哲
音楽:久石譲
撮影:柳島克己
編集:北野武
ソナチネ (映画) - Wikipedia
※ネタバレします
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久しぶりに観ました。(初めて観たのは20年位前かな?・・・映画のこまかい内容はほとんど忘れてしまっていました・・・)
約20年ぶりに観て→この作品があまりに面白いのでちょっと吃驚してしました。
こんなに素晴らしい映画だったとは・・・

『無表情の演出』が非常にイイと思いました。

登場する役者さんがみんな基本『無表情』なのです。
あまり感情的な(エモーショナルな)演技をしない・・・そういう演出が非常に心地良く感じました。

銃撃戦の場面や、海に人間を沈めようとしている場面でも登場する人物はまったくオーバーなリアクションをしません。
とても淡々とした印象を受けます。
なんとなく小津安二郎的な空気を感じました。


『無表情の演出』→なんとなくですが漫画家の「あだち充」っぽさを感じました。さりげなくて、奥ゆかしい・・・感情を表にあらわさない人物・描写・風景。
無表情の中に登場人物の感情を読み取るスタイル(演出)
(私が知っているあだち充さんの作品は『みゆき』『陽あたり良好! 』『タッチ』『ラフ』あたりで、最近の作品はまったく知らないのですが・・・)
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無表情で思い出したのですが・・・映画公開当時(1993年)「wink」という2人組の女性歌手がいて、歌っている時ずっと無表情だったのを思い出しました。
あれも事務所、プロデューサーからそういう指導があったのだと思うのです・・・(調べてみたところ→やはりプロデューサーの「無表情」指示はあったようです。ただ、相田翔子本人が後にインタビューで「あの無表情は緊張からくるものだった」と告白している記事も見つけました。う~ん、一体どちらが本当なのかわかりませんが・・・まあかなりの長期間無表情だったことからも『無表情演出の指示』があったことは確かだと思います)
Wink - Wikipedia
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80年代中頃あたりから90年代初めぐらいはテレビのCMなんかでも『無表情』で受け手に感情(情緒)をさとらせるみたいな演出がやたらあったような記憶があります。
シュールな演出・・・

今考えるとあれは、当時の流行・・・あの時代極めて効果的な演出手法のひとつだったのだろうと思います。

最近は全くと言っていいほどそういう演出を見かけないような気がします・・・逆に今やったらどうなるんでしょうか? ちょっと古臭く感じるのかな?
現在のテレビ(特にバラエティー)などでは過剰にテロップが画面上に置かれ、一目で何が起こっているのかをわかりやすく説明する手法が流行しているようなので、もしかしたら今無表情で何も言わない人間を画面の真ん中に配置しても、受け手は、何をどう受け取っていいのか・・・戸惑ってしまうかもしれません。


人がクレーンで吊るされて海に沈められるシーン、ささいな喧嘩でお腹を刺されるシーン・・・
↑とても恐ろしいシーンなのにどこかコミカルで、おもわず声を出して笑ってしまいました。
本当にもうギャグです。すばらしー


『弾をよけない銃撃戦』←この演出が何気にすごく特殊だと思うのです。


チャンバラトリオ、南方英二さんの異物感・存在感がモノスゴイと思いました・・・尋常ではないです!
コーエン兄弟の映画『ノーカントリー』に出てくる殺し屋を彷彿とさせる不気味さです。まあ『ソナチネ』の方が圧倒的に公開は早いのですが・・・
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大杉漣さんの赤いアロハシャツ姿が本当に似合ってなくて面白かったです。
この頃の大杉漣と寺島進は、なんともいえない色気を持っているなぁと思いました。


国舞亜矢さんが平気で脱いじゃってるシーンが強烈に印象に残っています。
20年ぶりに2度目の視聴をする前に、確実に覚えていたシーンがこの場面です。(それ以外のシーンはあまり覚えていない・・・)
おそらくあと何十年たってもこのシーンは忘れることはないだろうなぁ~と…それぐらいインパクトの強いシーンだと思います。


ラスト
う~む・・・こんなオチだったのかぁ・・・(全く覚えていませんでした・・・)
車の中でたたずむ武・・・誰もいなくなった海岸・・・朽ちた船、ひまわり。

ひと夏だけしか生きれない夏の虫のようなはかなさを覚えました。

夏の間中、元気に暴れまわっていた虫たちが、秋頃になると、本当に嘘のようにあっさりと皆いなくなってしまいます。そういう切なさ・・・無常感・・・


最後に若い人(勝村政信さん)ひとりだけが生き残る・・・←なんかイイと思いました。少しだけ気持ちが救われます・・・


公開から20年以上経っても全く色褪せていない質の高い作品。
さすがイギリスBBC「21世紀に残したい映画100本」のひとつに選ばれただけのことはあります。