2018年1月11日木曜日

色々ともったいない映画・・・宮崎吾朗監督作品『ゲド戦記』の感想メモ

ゲド戦記 [DVD]
ゲド戦記 [DVD]
映画『ゲド戦記
東宝配給、2006年7月29日に劇場公開
監督:宮崎吾朗
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
原作:アーシュラ・K・ル=グウィン
製作:鈴木敏夫
≪声の出演者≫
アレン(レバンネン):岡田准一(V6)
ハイタカ(ゲド):菅原文太
テルー(テハヌー):手嶌葵
クモ:田中裕子
テナー:風吹ジュン
ウサギ:香川照之
音楽:寺嶋民哉
主題歌:手嶌葵『時の歌』、挿入歌:手嶌葵『テルーの唄』
製作会社:スタジオジブリ、日本テレビ、電通、博報堂、DYMP、
ディズニー、三菱商事、東宝

ゲド戦記 (映画) - Wikipedia
※ネタばれします・・・
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一言で言うと・・・『色々ともったいない映画』だなぁと・・・
そう感じました・・・

色んな要素(味付け)が少しずつ足りない映画だったような・・・
もっと様々な設定や展開、エピソード等を盛り込んだら、すごい傑作に
なっていたかもしれない・・・

★ドラマチックさ・・・サスペンス(謎解き)・・・B級感(わい雑さ)・・・
ネタ(エピソード)・・・キャラクターらの個性(もっと魅力的なキャラで)・・・
竜の迫力・・・ぶっ飛んだ感覚・・・ユーモア・・・


どれもが少しずつ足りない・・・コクが足りない・・・
ちょっと残念な感じがする作品(スープ)・・・
≪もっともっと脚本等に(煮込み)時間をかけるべきだった?のかも・・・≫


冒頭の竜が登場するシーン。
共食い?のシーン・・・
テレビ画面だったからかもしれませんが、あまり臨場感は得られませんでした・・・
最初のつかみにしては、イマイチ迫力を感じない・・・
(映画を見終わった直後の今、目を瞑ってそのシーンを思い出そうとして
みても、まったく画が頭に浮かんでこない・・・)


映画開始から1時間以上が経過してもなお・・・
主人公アレンが無気力・・・テンションが低い・・・声小さい・・・
たそがれている・・・
よく寝ている・・・
悩みを抱え込んだ虚ろな顔つき・・・

・・・この感じはまあ(逆に)面白いと言えばちょっと面白い・・・


主人公アレンの口の周りに突如しわができる。
↑・・・ふいに、楳図かずおの顔を思い出す。


主人公アレンが覚醒するまでの時間が長すぎるような・・・
その悶々とした『心の闇期間中』に≪なぜアレンは不安なのか≫とか
≪それを克服するための試練≫とか≪本人によるひたむきな努力≫
とか、
そういう見る側にうったえかけるようなエピソードがまったく描かれてい
ない・・・そういうわけで・・・↓
アレンが覚醒した時に見る側が本来は得られるであろうカタルシスや感動(共感)みたいないものが、
これっぽっちも感じられないという・・・

★アレンが覚醒するキッカケ・・・↓
テルーという女の子による数分の説教(&まことの名?)&抱擁で、
わりとあっさり目を覚ます・・・



このストーリーをファンタジーではなく現代劇(2000年代以降の日本が舞台)で展開したら
もう少しダイレクトにセンシティブ(敏感)に感情が揺さぶられていたかもしれないなぁとちょっと思いました・・・
現代の少年のセリフ・・・
『いつも不安で自信がないんだ、
なのに時々自分では抑えられないくらい凶暴になってしまう』

※なぜ少年を主人公にすると、こんな感じ(碇シンジみたいな感じ)になってしまうのか・・・(?)


ジブリならではといいますか、父親・宮崎駿が得意とする演出等を踏襲しているシーンが・・・ちらほら伺えるのですが・・・↓

例えば、終盤、クモにとらわれたハルを助けるためにアレンが追っかける
場面での崩れた階段を三段跳びみたいにして渡るシーン等・・・

なんか妙といいますか・・・いつものジブリとは「何かが違う」感じがします・・・
なんだろうか・・・この違和感は・・・不思議です。


クモがなかなか『気持ち悪くて』よかった・・・
特に田中裕子の(演技)声が(気持ち悪くて)よかった・・・
ただ、目が空洞っぽく黒くなったり、白くなったり・・・
ジブリっぽくドロドロの液体状になったりとかの←こういう演出や描写はいまいちベタすぎるといいますか・・・既視感があって、もう少し別のアプローチがあった方がよかったのではないかと思いました。


挿入歌の『テルーの唄』の歌詞は、萩原朔太郎の詩『こころ』に着想を得て作詞されました。≫ということらしい・・・
萩原朔太郎 - Wikipedia


宮崎駿と宮崎吾朗の親子関係性をそのまま映画に投影しようとしたのか
どうかはわかりませんが・・・↓
冒頭でアレンは父親を剣で刺してしまう・・・シーンがあります。
↑・・・とはいえ、園子温監督の映画(愛のむきだし、冷たい熱帯魚、ヒミズ等)を観たときに
感じた・・・あのものすごい父子わだかまり・・・といいますかオドロオドロシイ呪縛
みたいなものは感じ取れませでした・・・


個人的には(テナーの作る薬を買いに来る)2人組のオバさんのキャラクターが微妙でした・・・
なんかとってつけたような印象が・・・


結局、世界の均衡が崩れているというその危機的状況『世界観』を微妙に描けていないところが・・・この映画をわかりにくくしている(?)原因ではないだろうか・・・(個人的にはそう思いました)・・・
ハジアとか、人狩りとか、農民が土地を棄てるとか・・・そんなものはいつの世にもありふれているような感じがするのです・・・


宮崎吾朗監督の次回作に期待しています・・・