2018年3月9日金曜日

市川雷蔵主演映画『ある殺し屋の鍵』感想メモ

ある殺し屋の鍵 [DVD] ある殺し屋の鍵 [DVD]
ある殺し屋の鍵 [DVD]

『ある殺し屋の鍵』(1967年大映)
監督:森一生
原作:藤原審爾(『消される男』(弥生書房刊))
構成:増村保造
【キャスト】
新田(市川雷蔵)
遠藤(西村晃)
秀子(佐藤友美)
北城(山形勲)
石野(中谷一郎)

※ネタばれします。



■市川雷蔵という人はすごい役者だなぁ~(この映画を観てあらためて思いました)
こんなに幅の広い演技ができる役者は他にいないと思うのです。
いわゆる典型的な時代劇ヒーロー役以外にも文学的ナイーブな役柄であったりアウトローであったりチャラ男であったり、はたまた陰気メンヘラな役であったり、ちゃんと演じ分けができるのです。その役柄の人物になりきり、顔つきまで変えてしまう恐ろしい役者です。ほんと稀有な存在だと思います。

この映画では、影のある男・正体不明・孤独でニヒルな殺し屋役を見事に演じていました。


■殺人の依頼、成功報酬(金)の中抜き・・・↓
4000万円3000千万2000万円1500万円

丸投げする度に中抜きされる金額、その額が意外と良心的だなぁと思いました。
(冷戦時代・・・まだ行き過ぎてはいない資本主義を感じます)

今(2018年)だったら
4000万円500万円100万円30万円
↑・・・こんな感じの方がリアリティあるような気がしました。
(まあ30万円で要人暗殺を請け負う人はいないでしょうが・・・中抜きの比率的にはこんな感じになるのではないかと・・・)


■この作品は『浮世離れした佐藤友美の美貌』を観るための映画なのかもしれません。

クールビューティー佐藤友美が非常に良い。なんともいえない色気(魅力)があります。心の中がのぞけない笑顔が素敵。

安っぽくないんです→キャラクターが・・・そこらへんのホステスとはちょっと違うオーラを感じました。

市川雷蔵が醸し出すハードボイルド・孤独な雰囲気をしっかりと支えることができる女性だと思いました。


■脚本(シナリオ)は、今、改めて考察すると→結構、雑だなぁと思います。
大胆過ぎる、要人殺害シーンが意外と行き当たりばったり。つっこみどころ満載。(プールで学生らしき集団がはしゃいで泳いでいたのなんて絶対偶然だと思うのです)
↑まあ、そこが面白いと言えば面白いんですが。
昭和30年代・・・昔の映画ならではの大胆さ(大雑把さ)
大らかさみたいなものを感じます。

クライマックス、北城(山形勲)の記者会見のシーン(暗殺シーン)
↑これも相当雑でした。突っ込みどころ満載。

あれだけ沢山の報道記者がいたわけですから、おもいっきり(誰が殺害したか)何が起こったのかバレるはずなんですけど、バンザイの瞬間の写真を撮っている奴もいたし、普通に写真に映っていてもおかしくないはずです。でもなぜかバレていない・・・

その直後のシーンも→警察が現場検証中、犯人である新田(市川雷蔵)が堂々と部屋に侵入・・・鍵を探して持ち帰るという・・・
↑ちょっとありえない展開・・・もうちょっと怪しまれてもいいし、そこをスルーする警察って何なんだ!
(ほんと雑です・・・)


■新田(市川雷蔵)に使い捨てられた秀子(佐藤友美)・・・
秀子(佐藤友美)は誰に電話をしていたのでしょうか?

普通は警察でしょう・・・警察に『空港で今から起こるであろうこと』や『遠藤(西村晃)を殺害した人物』を通報していた。

電話のシーンの後で数秒だけ、警察官が空港らしき場所を走ってやってくるカットが挿入されてあったのでそう考えるのが普通です。

ですが、新田(市川雷蔵)は現場で忘れ物をしたと警察官に普通に話しかけます→その時の警察官の呑気な対応を見ると通報が入っていないのがわかります。

ということはどういうことか・・・

フェイク演出で雷蔵を通報したと見せかけて、実はしていなかった←たぶんそういうことなのだと思います。
警官が走ってくるのもフェイク演出なのでしょう。

まあ時代的にも物語のセオリー的にも(佐藤友美の役柄)女は男を裏切らないような気がします。

フラれた恨みで警察なんかに通報しちゃったら、
とたんに『佐藤友美のキャラ』が安っぽくなっちゃいますから・・・

ラストのコインロッカーの爆薬騒ぎ・・・もしかして、これの通報をしたのが秀子(佐藤友美)なのかな?と一瞬思ったのですが、新田(市川雷蔵)がこのロッカーに金を隠していたことを知っているはずもないし(そういうシーンはなかったような)・・・通行人の会話「ロッカーへ爆薬をしかけたという情報があったんだってな」「またかい、ぶっそうな世の中だぜ」という会話から→おそらくこの騒ぎも秀子(佐藤友美)の通報からではないと考えられます。

あと、秀子(佐藤友美)が本当に警察に密告すると判断したなら、その場で新田(市川雷蔵)は女を躊躇することなく殺していたのではないだろうかとも推測されます。

この映画は、市川雷蔵&佐藤友美…両者ともお互いに絶対裏切らないと信じ合っているのだが、決して結ばれない・・・アウトサイダーな男と女の切ない恋愛劇という感じで受け取ることもできなくもないのかなぁ・・・と思いました。


■プールシーンでの市川雷蔵さんの体があまりに貧素というか・・・筋肉がまったくなかったのがわりとショックでした。もう少し筋トレしてから撮影に挑んでほしかったなぁ。
(でもまあしょうがないかぁ…※この作品の公開から2年後に雷蔵さんはなくなっています。)


■新田(市川雷蔵)がヨットで殺害依頼を受けるとき・・・数秒、戦時中の白黒写真(戦艦が沈んでいる様子等・イメージ)が画面に大写しにされます。
↑これは、一体何を意味するか・・・?

新田(市川雷蔵)が殺し屋となるにいたった暗い過去・・・それのイメージし映像なのか・・・


■レジデンス・風呂場のシーン
剃刀を持って反撃しようとした遠藤(西村晃)がなぜか苦しんで倒れる・・・
なんで?
たぶん新田(市川雷蔵)が剃刀に細工→持ち手が刃になっていてそこに毒物?を塗っていたのだろうと推測するわけですが・・・
ほぼ即死するような物質(毒物)って一体何なんでしょう…おそろしい・・・

うかつに検死もできないんじゃないだろうか…


■ラスト・・・
警察(爆弾処理班?)にロッカーの札束(1億円以上?)を発見された新田(市川雷蔵)は、わりと淡々とした表情で『鍵』をその場に捨て、立ち去っていく・・・
孤独な後ろ姿・・・
報われない・・・男の美学みたいなものを感じました。